上手ならんの育て方
1.“らん”と温室
高温性(温室栽培が理想)
バンダ、カトレア(大輪系)、ファレノプシス、デンドロビューム(ファレノプシス系)中温性(ある程度の保温が必要)
カトレア、オンシジューム(葉厚系)、デンドロビューム(フォーミディブル系)、
パフィオペディラム(大葉系、斑入り系)低温性(室内の無加温状態でも越冬)
シンビジューム、パフィオペディラム(青葉系)デンドロビューム(ノビル系)
ミルトニアは夏に冷房が必要。
2 枯らさないために
置き場所に注意します。
● 開花中、昼間はリビングなどにおいて楽しむ。 ● 日中1~2時間程度は明るい場所に移す。 ● 通風がよくて、レースのカーテン越しなど、直射日光の当たらないところ。 ● 夜は暖かい場所に。特に寒さを嫌う“らん”は暖房カーペットの上などに置くなどの工夫を。ただし、ファンヒーターなどの熱を直接当てない。換気にも気を配る。
3 花が終わったら
翌年も花を咲かせるために。
● 花をいつまでもつけたままにしない。(株が消耗してしまい、次の年に花がつきにくくなる) ● 花が終わったら早めに切り、切り花やコサージュにする。 ● 病菌が茎につかないように、ハサミやナイフは消毒液か火にあてて殺菌する。
4 水やりのコツ
休眠期は控え目に。
● らんの休眠期は、自生地の乾期に当たる。この期間は、葉から空気中の水分を吸い、バルブや葉に蓄えた水分だけで生きている。この期間に咲く“らん”が多い。 ● 休眠期は水やりを控え、乾かし気味にする。むしろ、霧吹きなどで空中の湿度を高める。コンポストの乾きぐあいを見てから。 ● 春は多くの品種が活動を開始する生長期。この頃から水やり、肥料が必要だが、やりすぎないように。 ● “らん”の根は、乾くと伸びようとするので、いつも水があると伸びようとせずに、根ぐされしやすくなる。 ● コンポストが乾いたのを合図に、水やりをする。
5 肥料の与え方
ハイポネックスなどの化学肥料を。
● これらの液肥を1000~2000倍に薄めて与える。やりすぎは禁物。 ● 肥料が必要なのは生長期から。ただし、植え替え直後、夏の高温状態は根を痛めやすいので避ける。 ● 生長期の前半には、固形肥料を1~2か月に1回、置き肥で。また、ハイポネックスなどの液肥を薄めて、10日に1回くらい、水やりの代わりにあたえる。 ● 生長期の後半の7月頃から、リン酸主体の液肥に替える。 ● 肥料のやり方は品種によって異なるので、詳しい人のアドバイスを受けるとよい。
6 日光と遮光
日光と遮光、通風が栽培の第一ポイント。
● 遅霜の心配がなくなった頃、屋外に出す。 ● “らん”は光線を好むが、風がないと葉焼けなどを起こしやすいので、屋外では遮光ネットを利用する。 ● 品種によって異なるが、夏越し対策として平均50%の遮光を。
遮光ネットの選択
- 30% ……………… シンビジューム、デンドロビュームなど。
- 50%(ラス織り) … カトレア、オンシジューム、バンダなど。
- 50%(市松織り) … ファレノプシス、ミルトニア、パフィオペディラムなど。
7 植え替え
慎重にやる“らん”の植え替え。
● “らん”の株は意外と生長が早い。1~2年のうちに植え替えが必要だが、失敗しないために栽培のベテランに相談を。 ● 時期は、一般に春暖かくなり、株や新芽が動きやすい3~5月。
植え替え(株分け)の手順
1. 植え替えの必要な株を選ぶ。
・根ぐされを起こしている株
・コンポスト(植え込み材料)が古くなった株
・大きく育ち過ぎた株
・早く株分けしたい株2. 植え替えに必要な材料の準備。
・鉢 素焼き系は通気性に優れ、病虫害に強く、鉢の中の乾き具合もよく分かり管理しやすい。
プラスチック鉢は、価格が安く、水持ちがよく、熱を伝えないので根の先が傷みにくい。3. 鉢からはずす。
ヘラを鉢の内側にそって入れ、根を痛めないように抜き取る。シンビジュームなどの大きな株は、鉢を割るか切り裂く。(プラスチック鉢)4. 株分けをする。
消毒済みのハサミを入れる。あまり小分けせず、3~5バルブずつセットにして。5. 植え替えをする。
前の鉢よりひとまわり大きな鉢に植え替える。6. 植え替え後の管理。
・根元は乾かし気味にし、毎日1~2回、葉の表面に水をやる。
・根元に肥料や水をやるのは、植え替えてから1月くらいより。